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みなさん、はじめまして。
写真に写っているのはツキノワグマの仔グマです。写真では見えませんが、胸のところに白毛の部分があってまるで月の形の首飾りをしているように見えるためツキノワグマと呼ばれています。
ツキノワグマは本州より南に住んでいるクマです。
よくヒグマと混同されることがありますが、ヒグマは北海道に住むクマで、種類が違います。
信州には多くのツキノワグマが生息していますが、九州では絶滅したとされており、また四国でも生息数が十数頭ともいわれるほど危険な状態となっています。
有害獣は殺すのが一番?
お話の中のクマがはちみつや木の実が大好きなように、ツキノワグマは植物食傾向の強い雑食であり、できるだけ人間との接触は避けようとする生きものです。
しかし以前と比べて山の環境が変化しており、最近では、山を下りて農家の人が一生懸命作った作物を食べたり、山里の家の残飯をあさったりして人間の生活が脅かされることが多くなりました。そしてその場合、猟師の人たちにお願いして殺してもらうことが人間の生活を守る最善の策とされてきました。
しかし、ツキノワグマの生態や行動を調査していく中で、捕殺だけではクマの被害は減らないことが明らかとなってきており、人間にとってもツキノワグマにとっても良い状況とは言えません。
ツキノワグマは生態系の傘。
野生のシンボルでもあるクマは、我が国の山岳生態系において重要な役割を果たしていると私たちは考えています。クマは、食物連鎖の頂点に位置するわけではありませんが、あの大きな体を維持するためには、他の動物たちに比べて、より様々な環境や食べ物を必要としています。
つまり、クマが暮らせる環境には、小さな昆虫や草花から大木まで、また、小さなヤマネやかわいらしいモモンガから華麗なカモシカまで、生態系の他の様々な生きものも生息・生育できるのです。
要するに、クマは生態系を覆う「傘」の役割を果たしている、と言われています。
大きい生きものも小さい生きものも、すべてがこの地球という衛星を共有して生き続けなくてはなりません。このことを保証することは、人類の責任であると私たちは信じます。私たちが受け継いだと同じように豊かな世界を、子供たちが受け継ぐことを、私たちは保証しなくてはなりません。
クマについて私たちがこれまで持っていた否定的な感情を変えることによって、また、この国でクマが生き続けることを保証し、それによりこの山岳域に共生する多くの生物種に優しい「傘」を供給することによって、私たちはこの責任を果たすことができるのではないでしょうか。
私たちツキノワグマ研究会は、こうしたクマからのメッセージを形にしていくために、クマと人間がともに幸せに共存できると信じ、活動を続けて行きたいと考えています。
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